経理業務のテレワーク化は難しい?課題を解消するために必要なこと
働き方改革やDXの推進、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、経理の仕事でテレワークに取り組む企業が増えています。しかし、デスクワークが主体の経理業務を在宅環境で完結するためにはITツールや社内体制の見直しを適切に行う必要があり、数ある部署のなかでも特にテレワークの環境の構築が難しいとされています。
そこで今回は、経理業務のテレワーク化が難しい理由と、推進するうえで重要なポイントについて解説します。
経理業務のテレワーク化が難しい理由
経理業務のテレワーク化が難しいとされる理由には、経理の仕事の内容やプロセス、取り扱う書類の問題などが挙げられます。
それぞれを確認してみましょう。
紙の書類のやり取りが必要な業務が多い
領収書や請求書といった証憑(しょうひょう)の管理を紙ベースで行っている企業はとても多く、テレワークの環境下では社内外の書類の円滑な受け渡しが困難になってしまうケースは少なくありません。
特に紙の請求業務や経費精算は、テレワークの導入を阻害する大きな要因になると考えられます。
捺印が必要な業務がある
出張旅費の申請などの社内の承認フローに、捺印を必要としている規定を設けている企業は少なくありません。
社内で管理している書類に捺印するために、オフィスに出社しなければならない事例は、新型コロナウイルス感染症拡大における非常事態時でも大きな問題となりました。
機密情報を扱う業務が多い
経理業務は会社の資金や取引先、従業員の給与などの機密情報を扱うことが多いです。機密情報の漏えいは、会社の信用の失墜やブランドイメージの低下、損害賠償の発生といった大きな悪影響を及ぼします。そのため、常にリスクを低減し続ける必要があります。
在宅勤務はインターネットセキュリティーや周囲からの監視、上長の管理などがオフィスと比べると徹底しにくいため、テレワークに踏み切れない企業も少なくありません。
経理業務をテレワーク化するために必要なこと
経理業務のテレワーク化を阻む要因は様々ですが、実際に経理業務を在宅で円滑に進められている企業も存在します。
経理業務のテレワークを推進するうえで欠かせない3つのポイントについて紹介します。
自社の経理業務内容の把握
テレワークを推進する前に必要なのが、自社の経理業務の内容を把握することです。業務のプロセスや必要な書類などを全て洗い出して、テレワークになったときに障壁となりうる「紙書類を扱う工程」や「捺印が必要な工程」などを可視化しましょう。事前にどの業務のどのタイミングで出社などが必要になるか把握できるため、テレワーク化で改善したい点を明らかにできます。
多くの企業でテレワーク化の障壁になりやすい経理業務の例としては、請求書の処理や支払い業務のほか、経費申請の確認や領収書の管理のような経費精算業務などが挙げられます。また、人事部門の勤怠データ入力や給与計算、振り込みなどの勤怠管理なども、テレワーク化が進みにくい業務です。
請求書の処理はネットバンキング、経費精算はクラウドストレージ、勤怠管理もクラウドサービスなどを利用することで、テレワークに適した環境の構築が可能です。適切なITツールを導入するためにも、まずはしっかりと会社全体の業務内容をチェックしてみましょう。
ペーパーレスの推進
経理業務の様々な場面で紙の書類を利用している状況では、テレワークになった際に効率的に仕事をし続けることは困難です。そのため経理のテレワーク化において、ペーパーレス化の取り組みは必須といえるでしょう。
業務内容の把握で明らかになった、業務に必要な紙をデータ化する方法やその運用方法などを見直す必要があります。
また、経理業務は自社だけで完結するものばかりではありません。取引先によっては紙の請求書を郵送でやりとりしているケースもあります。もしもメールやチャットツールを使ったやり取りに切り替えるのであれば、相手側の了承や理解を得なければなりません。また、承認作業をペーパーレス化し、はんこを電子印鑑などに移行する際は、会社の規定の変更も必要です。
さらにデータ化した書類を共有するクラウドストレージの用意や円滑な運用体制の構築も欠かせません。このようにペーパーレス化を促進するには関係者を横断的にまとめつつ、ITツールを導入するなど様々な調整が必要になります。
セキュリティー対策
経理業務で取り扱う機密情報のセキュリティーをテレワークの状況で確保し続けるためには、「業務環境の整備」と「従業員のリテラシー向上」が求められます。
業務環境の整備の主な手段としては、セキュリティー対策ソフトの導入が挙げられます。ウイルスやマルウェアの感染を防止するソフトだけでなく、従業員のパソコン操作のログを記録する「ログ操作管理ソフト」などが代表的です。ログ操作を管理することで、パソコンを起動してシャットダウンするまでの詳細な動作を確認できるため、情報漏えいした際の原因究明に役立つほか、従業員による不正防止にもつながります。また、テレワークではしばしば従業員の私物のパソコンを利用するケースもありますが、経理業務で利用するパソコンは、通常よりログ管理やセキュリティーが強化された端末を会社が貸与することが一般的です。また、会社とテレワーク先のパソコンはVPNで接続し、安全なネットワーク環境でデータをやりとりすることで、情報漏えいのリスクを低減することができます。
また、従業員の情報セキュリティーに対するリテラシーの向上も図りましょう。そのためには社内で扱う情報に関する規定やルールを定める必要があり、企業によっては情報の破棄の方法などを細かく取り決めている事例もあります。リテラシー向上には社員研修の定期的な実施によって、情報漏えいのリスクや危機管理を高める施策を行う企業が多いです。
経理業務のテレワーク化を実現するソリューションの例
スキャン文書や受信ファクスをクラウド連携
Fleekdrive Connect
京セラ複合機から、クラウドストレージ「Fleekdrive」に直接アクセスするためのアプリケーションです。スキャンしたデータや受信したファクスデータを、パソコンを介さず簡単にクラウドストレージにアップロードできます。送信元や日付ごとにデータを自動仕分けして保存するので、クラウドに保存した後の文書検索も容易です。アップロードしたデータは、パソコンはもちろん、スマートフォンでもすぐに確認できます。
経理業務においては日々さまざまな書類やデータのやりとりが発生します。書類を安全なクラウド上にアップロードして共有できる環境の構築は、業務の効率化につながると考えられます。テレワーク化を推進するうえで心強いソリューションの1つといえるでしょう。
業務プロセスに合わせて文書の仕分けを自動化
KYOCERA Capture Manager
スキャンした紙書類のデータやパソコンで作成・編集した電子文書の仕分け、データ入力などのワークフローを自動化するツールです。経理担当者が頻繁に扱う帳票や請求書などの書類管理の効率化を図れるほか、電子署名を付加して改ざん防止などのセキュリティー対策も行えます。
文書に記載されている文字・イメージ・バーコード情報を一括で認識/抽出し、抽出情報に基づいて自動仕分けを可能にします。また複合機だけでなく、指定フォルダー・Webブラウザー・モバイル端末など、さまざまな手段でKYOCERA Capture Managerにデータをインプットすることができるため、テレワークで活用することもできます。
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環境を整備して経理のテレワーク化を実現しましょう
経理業務のテレワークの難しさと実現するポイントについて解説しました。
機密情報を扱うことが多く、紙を使ったアナログ作業が主流である経理業務をテレワーク化するには様々な側面から業務を見直して変革する必要があります。ただ、しっかりと現状を把握して環境を整備することで、経理業務のテレワーク化に成功している企業も存在しています。自社の環境に適した取り組みとITツールの導入によって、経理業務のテレワーク化を実現しましょう。