初期投資”ゼロ”で実現する太陽光発電の仕組みとは
2021年8月に設置したとあるお客様の事例
三重県にて、食品製造業のA社さまに、京セラEPA合同会社の PPA※1スキームを活用した、“初期投資ゼロ”での太陽光発電システムを導入いただきました。 24時間稼働している倉庫としての役割もある、いなべ工場の屋根に、京セラ製太陽電池パネルを364枚敷設し、 年間約120,000kWhの電気を発電※2しています。今回は、太陽光発電システムの導入をすすめてこられた常務取締役のB様にお話を伺いました。
システム概要 | |
設置場所 | 三重県 |
設置容量 | 118.3kW |
設置年月 | 2021年8月 |
初年度年間発電量 | 121,628kWh※2 |
初年度太陽光供給電力量 | 115,684kWh(発電制御分を除く)※2 |
初年度CO₂削減量 | 49,281kg-CO₂/年(二酸化炭素換算)※2 |
導入形態 | 京セラPPAスキーム |
PPA事業者 | C社 |
- ※1…PPAとはPower Purchase Agreementの略称。PPAモデルは、第三者所有モデルや電力購 入契約モデル等と呼ばれる、企業や自治体が所有するビルの屋根や空地をPPA事業者に貸与し、 PPA事業者が初期投資ゼロで太陽光発電を設置する仕組み。企業や自治体は、初期投資ゼロで 太陽光発電を設置し、発電された電気をPPA事業者から購入。
- ※2…導入時のシミュレーション値による
太陽光発電システムを導入したきっかけは?
2014年に製品倉庫として三重県に、工場を建設しました。当初から、工場屋根への太陽光発電システム導入を検討していたのですが、当時はFIT(固定価格買取制度)での導入が主体。
設置検討のため、数社の見積もりやシミュレーションを取得しましたが、投資回収に20年程度かかる試算であったことやメンテナンス等ランニングコストがネックとなり、導入を断念していました。その後も毎年のように、太陽光発電システム導入について検討は重ねていましたが、自己投資での導入には、踏み切れずにいました。
そんな2020年の冬、京セラさんから「初期投資ゼロでの太陽光発電システムの導入」の提案をいただきました。当時はまだPPAスキームといった“初期投資ゼロ”での提案は珍しく、初めて提案を受けたときは、そんなうまい話があるものか、と正直あやしいと思いました。ただ、自己投資での導入検討時にネックとなっていた、投資回収やメンテナンスの 課題がクリアになる京セラさんのPPAスキームは、非常に魅力を感じました。
太陽光発電システム導入における期待や目的は?
導入の目的は、大きく3つあり、「環境対策」「遮熱効果」「電気代削減」です。 弊社としても、国連が掲げる「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に貢献し、持続可能な社会の実現に努めています。テーマの一つに「クリーンな食品づくり」を掲げており、省エネ・再エネの活用によるCO₂削減も取組みのひとつです。
また、工場は火を使う設備もあり、現場は40℃近くになることもあります。社員が働く職場環境の快適さの維持も課題で、特に空調関係は充実させています。 そのため、太陽光発電システム導入による遮熱効果も期待のひとつでした。
もちろん太陽光発電システムで発電した電気の自家消費や、それに伴いデマンドを抑制することができ、契約電力を下げることによる購入電力の削減も期待していました。
検討から導入まではどれくらいの期間でしたか?
最初に提案いただいてから運転開始までは9か月くらいだったでしょうか。国の補助金の申請が通り、社内で導入の決裁がおりるまでは、だいたい6か月くらいだったと思います。
●導入検討にかかる期間は、各社により異なります。
導入時の課題や苦労した点はありましたか?
社内でも様々な意見があり、社内調整が課題だったように思います。太陽電池パネルには、クリーンな電気を自社で発電することができるという良いイメージの反面、太陽電池パネルの処分の問題や工場屋根に設置したことで雨漏りが起こる、といったネガティブなイメージをもっている人もいました。
また、“初期投資ゼロ”、“メンテナンスゼロ”という、 自社負担が限りなく少ない提案に対して、そんなおいしい話があるのか、と半信半疑になっていた面もあったと思います。
そのようなネガティブなイメージやにわかに信じがたい提案についても、京セラさんが丁寧に説明をしてくれ、納得した上で、導入を進めることができました。
自己投資ではなく、PPAスキームを採用した理由は?
2014年から導入の検討は続けていたものの、投資回収と自社でのメンテナンスがネックでした。“初期投資ゼロ“の 提案は、かねてからの課題点である投資回収とメンテナンスの両方が解決できる導入方法だったため、PPAスキームでの採用を決定しました。
導入されて1年半が経過されましたが、期待していた効果は得られましたか?
工場で使用している電気の20%を太陽光発電システムの自家消費で賄うことができています。導入前にくらべて、デマンドも30%減の効果があり、電力会社からの購入電力も抑えることができています。
導入当時は、現在(取材当時2023年2月)のような、電気代高騰も想定していませんでしたが、2020年と比較すると、購入電力の単価も3倍近くになっており、結果として電気代を抑制することができ、大変満足しています。
また、導入当時にいただいたシミュレーション値より発電量でもプラス の効果がでています。シミュレーションでは約115,000kWh/年に対し、 導入から1年間(2021年8月~2022年7月)の実績は、約130,000kWh/年となっており、シミュレーションよりも10%強の高い実績を示しています。CO₂も50,000kWh/年の削減効果を得られており、非常に満足しています。
弊社をお選びいただいた理由を教えてください
京セラさんが太陽電池パネルのメーカーとしては、パイオニアであるという認識はありました。千葉県での30年以上の長期使用実績があることからも、京セラ製の太陽電池パネルは品質がよく、信頼できるメーカーだと思いました。また、 国内のメーカ―であることもポイントでした。せっかく設置するのだから、壊れずきちんと発電してくれる製品を選択したいと思い、京セラさんに決めました。
太陽光発電システムを導入後、社内外の反響はありましたか?
2022年1月に、三重県SDGs推進パートナー(第1期登録)に登録されました。この制度は、三重県内に おける企業や団体等のSDGsに向けた取り組みを見える化し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを広げていくことを目的とした制度です。当社は第1期登録者として登録しています。
またSDGsに関する取り組みに対して、社内の意識が高まったと感じています。CO₂の削減については、電気やガス、水道といったものだけでなく、食品メーカーとして、食品の廃棄ロスも取り組みテーマになっています。 SDGsを宣言することで、目に見えて社員に公表するこ とができ、社員にも示しやすくなったと思います。
今後の展望があれば教えてください
SDGs等の影響もあり、脱炭素社会を実現する施策として、再エネが世の中に拡がっていますが、『自分がつかう 電気は自分でつくる』という世の中になれば良いなと思っています。 現在は、太陽光発電システムで発電した電気で、工場全体の使用電力の20%程度を賄っていますが、これを40~50%に増やしていきたいと考えています。休日昼間に発電を止めていることが大変もったいないので、タイミングがあれば蓄電システムの導入も検討していきたいです。
また、BCP(事業継続計画)の観点でも、太陽光発電システムで発電した電力の確保は非常に重要です。太陽光発電システムで発電した電力で工場を稼働させることは難しいかもしれないですが、災害時などに活用する方法は、考えていきたいと思っています。
(2023年2月 京セラにて取材)
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