会社の書類をPDF化するメリットと注意点|電子化が注目される理由

紙の書類を電子化する代表的な手法の1つが「PDF化」です。複合機はもちろん、スマホやタブレット端末でも既存の書類をPDF化できるため、ビジネスシーンにおいて個人的な活用にとどまらず、全社的にPDF化を推進する企業も少なくありません。
今回は、書類のPDF化に取り組む企業が増加している理由と注意点、メリットなどについてまとめました。紙の資料の電子化やペーパーレス化に取り組む際はぜひ参考にしてください。

書類のPDF化が注目される理由

PDFは「Portable Document Format」の略語で、データを紙に印刷したときの状態のまま保存して出力できる保存形式です。しばしば「紙の電子版」とも称されるPDFのニーズが、ビジネスシーンにおいて高まっている2つの理由について紹介します。

書類のペーパーレス化が進む傾向にあるから

ビジネスシーンにおいてインターネット環境が不可欠になる一方で、紙の書類をデータに置き換える「ペーパーレス化」の重要性が高まっています。紙の書類は、保管する場所を確保しなければならないため、デスクやオフィスのスペースを圧迫します。また、受け渡しにかかる時間や郵送コストなど、企業経営に求められる効率化や生産性向上を実現するうえで課題となる障壁を生み出す原因の1つでもあります。

実際に、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大や働き方改革の推進によって多くの企業がテレワークを導入した際も、紙の資料を前提にした業務プロセスによって書類の受け渡しのためだけに出社しなければならないケースが問題となりました。

このような課題を解決するためには、業務のデジタル化が欠かせません。書類をPDF化できればメールやチャットでデータのやりとりができ、契約や請求業務などをオンライン上で完結することも可能です。このように、テレワークなどの様々な取り組みを実現するには、書類をPDF化することが重要なポイントになっているのです。

電子帳簿保存法が改正されるから

効率化や生産性向上といった自発的な取り組み以外でも、データで決算書などを保存する要件を定めた「電子帳簿保存法」によって書類のPDF化が義務付けられる企業もあります。2022年1月から同法令によって、原則、データで受け取った書類を紙に出力して保存することが認められなくなってしまいました。つまり、メールで送られてきた請求書などを印刷して保管することができなくなるというわけです。

もともと紙の書類でやり取りしている取引は対象ではないものの、紙とデータで保存方法がバラバラになってしまうのは好ましくありません。そのため、これを機に全ての書類をPDF化してまとめる企業も増えると予想されています。 また、2022年1月からは決算書や請求書、納品書などをスキャンして保存する要件も緩和されました。具体的には「社内規定の整備」や「相互けん制」といった適正事務処理要件が廃止され、税務署長の事前承認も不要になりました。つまり、国税関係の書類に関しては2022年からよりPDF化して管理しやすい環境になったのです。

このように国政やビジネスなど様々な観点から、PDF化の推進やPDFを利用した業務に対する正しい知識の取得の必要性が高まっています。

書類をPDF化するメリットと注意点

書類をPDF化することで、業務や企業経営にどのようなメリットがあるのでしょうか。PDF化する際の注意点と併せて紹介します。

書類をPDF化するメリット

書類をPDF化するメリットには、以下のような点が挙げられます。

物理的な保管スペースを削減できる

証憑(しょうひょう)や請求書などは法律によって、数年間にわたって保存期間が定められています。紙で保存する際は一つひとつファイリングして保管しなければならず、商社など仕入れや売上の数や取引先が多い企業では膨大な書類を管理する必要があります。そのため、一部屋を書類の保管場所にするなど、スペースを有効的に使えない環境になる大きな要因となっています。また、書類を紙で管理するとファイリングする手間がかかるうえ、目的の書類を探す時間も増えてしまいがちです。

書類をPDF化すれば、パソコン一台もしくはクラウドストレージで全てを管理することが可能。しっかりとファイル名を付けておくことで検索機能を利用すれば、簡単に目的の書類を表示することもできます。物理的な保存スペースも必要ないので、オフィスのフリーアドレス化など効率的で働きやすい職場づくりにも取り組みやすくなるでしょう。

書類が経年劣化しない

紙の書類と違い、電子データは長期間保存しても変色や感熱紙の文字の消失といった劣化することはありません。また、PDFなどの電子データはバックアップも簡単なため、紛失対策も容易ですし、焼失などのリスクも少ないことも大きなメリットといえるでしょう。

コストの削減につながる

PDF化した書類を前提にした業務フローにすることで、これまで紙の書類の作成ややりとりで発生していたコストを削減できます。例えば、出力するための用紙代やトナー代のほか、郵送費、切手代などの諸費用もコストダウンできるでしょう。また、書類を保管するためのファイルやキャビネットなども必要なくなります。経費だけでなく、郵送にかかっていた時間なども削減できるため、業務の効率化が図れるのも魅力です。

書類をPDF化する際の注意点

紙の書類をPDF化することで得られるメリットはたくさんありますが、同時に注意しなければならないポイントもあります。

セキュリティー対策が必要

書類をPDF化したデータはサーバーやパソコンなどに保管します。サーバーやパソコンなどの端末がウイルス感染や不正アクセスによってPDFの情報などを抜き取られてしまうリスクがあります。情報漏洩対策は必ず行う必要があるでしょう。

例えば、ファイルにパスワード設定したり、PDFそのものに「証明書」を発行したりすることで内容を暗号化し、指定した人だけが閲覧できる環境をつくることなどが対策として挙げられます。また、クラウドストレージなどでファイルを共有する場合は、閲覧や編集など適切な権限を付与することで、強固なセキュリティー体制を構築できます。

保存形態が法律で定められている書類もある

決算書や請求書といった国や自治体に提出する書類などは、前述した電子帳簿保存法などで保存方法が定められているので注意が必要です。特に2022年1月からは紙の書類を電子化・PDF化する「スキャナー保存」の要件が緩和された一方、税務処理上の罰則も重くなり、隠ぺいや偽装などの悪用があった場合は、申告漏れに生じる重加算税が10%加算されます。悪意はないとしても罰則は適用されるので、スキャナーでPDF化する際はしっかりと対策する必要があるでしょう。

電子帳簿保存法による電子化した書類の保存要件の1つが、日付・取引先・金額の3項目で検索できる保存形態となります。具体的には、3項目を網羅したファイル名をつけるほか、専用の索引表の作成などが考えられます。

※出典:「電子帳簿保存法が改正されました」(国税庁)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

書類のPDF化を推進するのにおすすめのソリューション

書類はスキャナーや複合機でスキャンするだけで簡単にPDF化できます。ただ、業務の効率化や生産性の向上を図るのであれば、PDF化したデータを円滑に運用できる環境づくりが欠かせません。その際に有用な機器とソフトウェアを紹介します。

カラーA3複合機 TASKalfa 7054ciシリーズ

ドキュメントの共有を効率的に行える機能を搭載したカラーA3複合機で、多彩なスキャン機能を有しています。例えば、原稿台にランダムに置かれた複数枚の名刺や領収書などを自動で1枚ずつの画像ファイルに変換でき、作業効率の向上が図れます。

また、スキャン機能拡張オプションを追加すると、スキャン時に原稿から文字を抽出し、テキスト検索可能なPDFファイルを作成することができます。そのほか、WordやExcelといったMS Office文書への変換も可能です。

PDF化の作業はもちろん、その後のデータ活用がしやすくなり、文書の保管、閲覧、回覧も容易になります。ぺーパーレスの承認フローの構築や、テレワークの効率的な運用にお役立ていただけます。

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業務プロセスに合わせて文書の仕分けを自動化
KYOCERA Capture Manager

「KYOCERA Capture Manager」は、PDFなどの電子データの文書の仕分けを自動化するITツールです。スキャンしてPDF化したデータだけでなく、パソコンで作成・編集したデータを含めて、自動的な仕分けが可能になります。運用の障壁となる可能性が高い仕分け作業やデータ入力作業の効率化に大きな効果が期待できます。
ドラッグアンドドロップで簡単にワークフローを定義することで、イメージ補正・データ認識や抽出、フォーマットの変換、電子署名、メタデータの作成など様々な処理を自動で実施し、フォルダやクラウドストレージなど適切な送信先にデータを送ることができます。セキュリティー対策や業務効率化など、幅広い業務改善に役立つツールといえるでしょう。

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電子化後の運用を考慮して書類のPDF化に取り組みましょう

書類のPDF化に関わる基礎知識とおすすめの機器やツールについて解説しました。実施する際にはペーパーレス化自体が目的になることも多いですが、取り組む際は電子化したデータの運用も考慮することが大切です。

書類の電子化は個人レベルでも始められるので、組織的に取り組む前に担当者や責任者が自身の作業プロセスをPDFなどの電子データに置換してみてはいかがでしょうか。運用における盲点などを見つけられる貴重な機会になるかもしれません。

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